第55章 絶対に橘結衣をもう彼の目の前から消えさせてはならない

橘由樹が現れた瞬間、周囲の視線が一斉に集まった。

整った顔立ち。国際クラスのありふれた制服すら、彼が着ればどこか貴族めいた雰囲気になる。密かに想いを寄せる女子も少なくない。

「ねえ、橘結衣。これ、あんたのお兄ちゃん?」

田中未菜が小さく橘結衣の肘をつついた。

その声を聞いた橘由樹が、冷ややかに視線を投げる。

「誰がこいつの兄だ。俺の妹は橘晴美だけだ」

「ネットで橘結衣がうちの実子だって騒がれてるからって、橘晴美の代わりになれると思うな。橘家の令嬢は、橘晴美ただ一人だ」

「それで、橘結衣は……」

橘由樹はわざと間を置き、鼻で笑った。

「何でもない。取るに足りない」

今日の学...

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